映画「世界の終わりのいずこねこ」感想 アイドルは世界の終わりを生き続ける

新宿のK's cinemaっていう小さい映画館で観てきました。
『世界の終わりのいずこねこ
http://we-izukoneko.com




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インターネットとかアイドルとかのお話ですね。
インターネットに常時接続しているいまっぽいとこを掬い上げてる映画かな、って感じの印象。
この前買った最果タヒ「かわいいだけじゃない私たちの、かわいいだけの平凡」も『インターネット×アイドル』がテーマでしかもSF未来っぽい設定なので、親和性を感じたり。





というわけでとりとめのない感想です。
ネタバレは避けるので、これから観る人が読んでも大丈夫(なはず)





■最高の前菜
映画上映前にかまってちゃんのライブ映像が流れた。
竹内監督がディレクションしたものらしい。

正直期待してなかった。YouTubeに上がってるような映像が大画面で見れるだけでしょ、意味あるの?くらいに思ってた。
これがめちゃくちゃ最高だった。映像が本当に綺麗だったし、引きの観客の画が映画の観客者としての自分を忘れさせた。
の子の熱量が決してうまくはないボーカルにのって伝わってきて、ライブ会場にいるような感覚に陥った。

音楽の力すげえ、って思った。
サイコーだった。心を掴まれた。
あと、歌詞と映画がリンクしてるのでそこもよかった。

逆に、ほかの映像が流れる上映日だったらまた違った印象を持ったかもしれない。

良いお皿に乗って、最高の前菜たるかまってちゃんの映像が運ばれてきて、メインディッシュへの期待が高まる、そんな感じ。






◼︎映画について

目が3つある女の子、ツノが生えてる女の子、しっぽが生えてる女の子がクラスメイト。


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世界が終わるんだから、将来なんてない。
10年後にはこの世界がもう消滅してしまうのだから。



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絶望、なにもしたくない、やる気がない、死にたい。
頑張ることの意味が喪失してしまった世界。
クラスメイトはいつも眠っている。

ディストピア







主人公のいずこねこは学校から帰ったらキャピキャピ配信しちゃう系のネット配信中毒者。
いつか終わりが来る女子高生という時代を世界に晒し続ける。



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いずこねこにとって生きることは表現することだ。
もっと言えば、歌って踊ることだ。
インターネットを介してそれをたくさんの見てもらっている。

人に見られることによって得られる承認っていうのはTwitterを見てても強く感じるし、このへんを取り上げるのはおもしろい。いまだからこそって感じ。
生配信のシーンは見ていて楽しかったというか、新しい!って思った。(なお、不満点もあり 後述)







宮台真司が20年前「終わりなき日常」を“まったり”と生きている女子高生を絶賛したならば、この映画は「終わりある世界」をどう生きるかを提示している

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映画に登場する女子高生やその家族、リスナーたちがどう生きたかは映画館で。(宣伝)





◼︎ここが残念だった部門


主人公のいずこねこが生配信をするシーンがあって、画面にコメントが出るんだけど、そこがちょっと引っかかった。
端的に言えば、配信者とコメントのタイムラグがもっと欲しかったなと思う。
そうしたら「ツイキャス」「ニコ生」の空気感がもっと出たんじゃないかと思う。

全体的なバランスや映画としてスムーズに進行するためには難しかったのかもしれないけど。
配信者の行動とそれに呼応するコメントがちょっと早いように感じた。

あ、もしかして未来SF設定だからコメントにラグなんて生じないのかな!??





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生配信のときに出るコメントのチョイスはよかった。
画面に常時10件-20件表示されるんだけど、アンチコメもあったし、コメント同士で勝手に盛り上がるカオスな空気感とかもすごくうまかった。
配信者とリスナーのかけ合い、親フラとかね。



◼︎一言感想部門


月詠まみを知れた


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かわいい







・ゆるめるモ! あのちゃんがデカい


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デカい






・緑川百々子の変化


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かつてももちゃん14才だった彼女がもう生徒役に入れないという刹那





・チョイ役かと思ってた西島大介


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こんなに出るんですか、ってくらい出てきて、途中から噛まないでがんばって〜って応援したくなった






・蒼波純の「重症か」(だったっけ?)というセリフ


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きわめてネット書き言葉的というか、まるでLINEで台本を作ったのではないかというほどのPOPさ
→それを絶妙に自然に演じる蒼波純のすごさ





・音楽が流れてる間の多幸感
やばい


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◼︎さいごに

この映画を観たあと、ゆるめるモ!の「あの」ちゃんがちょうどツイキャスやってたんですよ。
それで「今日あのちゃんが出てる映画見たよ!」ってコメントしたら「チョイ役だったけど〜」ってあのちゃんがレスくれて。



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いま自分は、アイドルが地続きになっている世界を生きているのだ、と思った。
映画に出ているアイドルに対してコミットし、小さく繋がれる世界。

だとすれば、世界の終わりはショートカットのアイドルの眠そうな笑顔とともにある。